山のいただきのほうから
霧が降りてくる
扇形に延びて
広まって
隠れてゆく
  身を潜めている
隠されゆく
  足跡
隠してゆく
  生痕

時間は流れているのだろうか
霧が山肌を纏っているあいだも
後ろから前へと
後ろから前へと
林檎はこんなに顔を
赤らめてきているのだから
時間は進んでいるのだろうか
砂防ダムで食い止められたあいだも
濁水を過去の滝つぼへと
流しつづけているのだろうか

(じ150918)

足跡